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ヒートショックとは?対策に有効な窓リフォームをご紹介!

ヒートショックをご存じでしょうか。

暖かい部屋から寒い部屋へ移動すると血圧が上下に大きく変動し、脳や心臓に負担をかける健康被害を「ヒートショック」と呼びます。

ヒートショックを防ぐには、家の温度を一定に保つことが大切です。

つまり、「寒い部屋と暖かい部屋の温度差を小さくする」ということで、これを断熱と言います。

そして、住宅建材で最も断熱性能の悪いものに『窓』があります。

この記事では、ヒートショックを窓という目線から見て詳しく解説していきます。

1.ヒートショックとは

ヒートショックとは、暖かい部屋から寒い部屋への移動 などによる急激な温度変化によって、血圧が上下に大きく変動することをきっかけにして起こる健康被害のことです。

症状としては、失神や不整脈を起こしたり、最悪の場合死に至ることもあります。

特に高齢者のヒートショックは深刻になりやすく、浴槽で倒れてしまい溺死というケースもあります。

健康寿命・平均寿命が短くなる原因は血圧も関係!?

健康寿命・平均寿命が短くなる原因の1つは、血圧にあります。

日本人の死因トップ5

心疾患、脳血管疾患の主な原因は高血圧であったり、血圧の乱高下と言われていて、ランキングの2位と3位を占めています。

※健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のこと。

2.ヒートショックの現状

ヒートショックによる死亡者数は、交通事故死の約4倍!

ヒートショックで亡くなる方は、年間で約17,000人います。

これは、交通事故による死亡者数の約4倍にあたりますので、

車よりも家の方が危険なくらいです!

※ヒートショックは医学用語ではないので死亡診断書にヒートショックという用語は出てこず、「溺死」や「病死」と記入されているため、ヒートショックが原因と思われる死亡の正確な統計データはありません。

しかし、東京都健康長寿医療センターによると上記の数値になると推計されています。

3.引き起こす条件

ヒートショックが起こりやすいのは冬場の浴室

入浴中の事故死は平均気温10度以下の12月~3月にかけてが多く、東京都においては1月が242人と最も多く発生しています。

また、家の中では暖房の効いていない浴室や脱衣所は特に注意したい場所です。

冷え切った脱衣所で服を脱いだ後に、熱いお湯に浸かることで血圧が急激に変化して、ヒートショックを引き起こす危険性が高まります。

築20年以上の戸建て住宅の浴室は、半分以上が在来工法で作られています。

在来工法は、浴室の広さや形に合わせて床や壁をタイルで貼る従来の施工方法です。

ユニットバスに比べて気密性や断熱性が低いので、築20年以上の家に住んでいる方は、浴室でのヒートショックに要注意です。

※参考:都市生活レポート『入浴とヒートショック~シニアの入浴環境の実態と意識~』東京ガス株式会社 都市生活研究所,2015年

高齢者のヒートショックに注意

ヒートショックは誰にでも起こりうる現象ですが、その中でもヒートショックになりやすい人は

・65歳以上の高齢者

・高血圧、糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病を抱えている人

・肥満気味の人

です。

特に高齢者は、浴槽での溺死者数の約9割を占めているので要注意です。

温熱感覚も低下している場合があり、体感温度だけでは判断が難しい場合があるので温度計等で室温を客観的にチェックしたり、家族で声かけを行うなど注意が必要です。

4.対処方法

ヒートショックになってしまったら

ヒートショックは未然に防ぐことが最も重要ですが、万が一浴槽で倒れている人を発見した場合に素早く対応できるように、日ごろから応急処置方法を確認しておきましょう。

  1. 浴槽の栓を抜く。大声で助けを呼び、人を集める。
  2. 入浴者を出せるようであれば浴槽内から救出する。ただちに救急車を要請する。(出せないようであれば、蓋に上半身を乗せるなど沈まないようにする。)
  3. 浴槽から出せた場合は、肩を叩きながら声をかけ、反応があるか確認する
  4. 反応がない場合は呼吸を確認する
  5. 呼吸がない場合には胸骨圧迫を開始する。
  6. 人工呼吸ができるようであれば、胸骨圧迫30回、人工呼吸2回を繰り返す。できなければ胸骨圧迫のみ続ける。

出典:東京防災救急協会「上級救命講習テキスト」東京法令出版2015

「胸骨圧迫の位置」

胸の真ん中を約5cm、一分間に100回から120回のテンポで押します。

これはアンパンマンのマーチのテンポくらいです。

5.予防と対策

今日から気軽に出来るヒートショック対策

浴室を温める

シャワーを活用したお湯はり:シャワーを高い位置に設置して、浴槽へお湯をはることで、浴室全体を温めることができます。

入浴時の注意

①食事直後・飲酒時の入浴を控える

食後一時間以内や飲酒時は、血圧が下がりやすくなるため、入浴を控えましょう。

➁かけ湯をする

冷え切った体ですぐ湯につかると、入浴直後2分程度で、血圧は30~50急上昇してしまいます。

手・足など心臓の遠い場所から、肩に向かって徐々に「かけ湯」を行い、十分に体を慣らしてから入浴しましょう。

➂熱すぎるお湯は控える

人によって影響は異なりますが、お湯の温度は、41℃以下がおすすめです。

➃早朝・深夜の入浴を避ける

特に冷え込みがちな、早朝や深夜の入浴を避けましょう。

⑤入浴前の声かけ

家族と暮らしている人は、入浴する前に一声かけたり、高齢者や高血圧の方の入浴中に日頃から声かけを行う習慣をつけましょう。

窓の断熱リフォーム

シャワーや暖房器具で浴室を温めても、家の断熱性能が低いと、せっかく温めた浴室がすぐに冷えてしまい、光熱費もかかってしまいます。

では、浴室の断熱性能を効果的に高めるためにはどうしたら良いでしょうか。

答えは窓です!

在来工法の浴室では、床の冷たさ等に気を取られがちですが、実は窓リフォームを行うことによって、浴槽内の温度が低下することを抑えることができ、浴室を暖かく保つことが出来るんです。

また、冬の住まいでは、窓などの開口部から48%と約半分の熱が出て行ってしまいます。

そのため、窓を断熱化することで効果的に浴室の暖かさを保つことができます。

今後のためのヒートショック対策

窓の断熱リフォームには大きく分けて3つの方法があります。

断熱効果や費用、メリット・デメリットをしっかりと把握して、ご自宅に合った窓リフォームを行いましょう。

「熱貫流率」について

熱貫流率とは、ガラス内外の温度差が1度あったときに、ガラス1㎡あたり1時間でどれだけの熱が通過するかを表した値です。

熱の通過量が少なければ少ないほど断熱性能が高いので、熱貫流率の数値が小さいほど、断熱効果が良いということです

参考:透明一枚ガラス3mmが入った窓の熱貫流率は6.15[W/(㎡K)]です。

※アルミサッシ(W1690 H770)+ 透明3mmで算出しています。

ガラス交換

今あるサッシ枠はそのままに、ガラスだけを交換する方法。

メリット

デメリット

窓全体を交換するのに比べて安い

施工時間が短い

ガラスの厚みによっては使用できない種類のガラスもある

サッシは交換しないので、アルミ部分の性能は向上しない

[参考断熱効果] 2.79[W/(㎡K)]

既存窓(アルミ樹脂複合サッシ)+ スペーシアクール6.2mm(W1690mm×H770mm)

[参考価格] 65,000円(工事費込)

既存窓(アルミ樹脂複合サッシ)+ スペーシアクール6.2mm(W1690mm×H770mm)

※断熱効果はあくまで目安です。

※金額も目安ですので、実際の金額は各施工店によって異なります。

真空ガラス「スペーシアクール」の詳しい解説はこちらから

内窓設置

今ある窓の室内側にもう一つ窓を設置するリフォーム方法

メリット

デメリット

窓全体を交換するリフォームに比べ安い

窓の開閉が2窓分必要

掃除に手間がかかる

[参考断熱効果] 1.55 [W/(㎡K)]

内窓 + 複層ガラス遮熱タイプ(W1690mm×H770mm)

[参考価格] 62,000円(工事費込)

内窓 + 複層ガラス遮熱タイプ(W1690mm×H770mm)

※断熱効果はあくまで目安です。

※金額も目安ですので、実際の金額は各施工店によって異なります。

断熱・防音内窓「インプラス」の詳しい解説はこちらから

カバー工法

今あるサッシ枠の上から新しいサッシをかぶせるリフォーム方法

メリット

デメリット

窓全体が新品になる

すき間風を防げる

窓のがたつき解消

今ある窓のガラス面積が狭くなる

[参考断熱効果] 2.91[W/(㎡K)]

アルミ樹脂複合リフォーム用サッシ + 複層ガラス遮熱タイプ(W1690mm×H770mm)

[参考価格] 128,000円(工事費込)

アルミ樹脂複合リフォーム用サッシ + 複層ガラス遮熱タイプ(W1690mm×H770mm)

※断熱効果はあくまで目安です。

※金額も目安ですので、実際の金額は各施工店によって異なります。

※マンションにお住まいの方へ

窓は「共用部」ですが、個人で施工ができるようになっています。

ただし、理事会の承認が必要になりますので確認をしてください。

サッシをまるごと交換「カバー工法」はこちらから

リフォームの詳しい流れはこちらで紹介しております。

6.まとめ

ヒートショックについて、予防方法や対応方法をご紹介しました。
交通事故で亡くなるよりも、ヒートショックで亡くなる方が多いのは衝撃でしたね。
住宅全体の暖かさで命や健康を守ることになりますが、エアコンやヒーターの性能だけを高めてもダメです。
熱を逃がさない保温性能、これを断熱性能といいます。
断熱性能を高めるにはまず窓を見直すことが重要です。
しかし、リフォームで窓を思いつく方も少ないのではないでしょうか。

窓リフォームは最初こそ費用が掛かりますが、浴室の断熱性能を良くすれば医療費を減らせたり、大切な家族や自分の命を守ることができます

この記事が読んでくださった方とそのご家族のためになれば幸いです。