■戸建てのサッシ交換で用いられる工法2種類

戸建てのサッシ交換では、主に「はつり工法（壁カット工法）」と「カバー工法」のいずれかが用いられます。それぞれに特徴が異なるため、まずはその概要について把握しておきましょう。

(1)はつり工法（壁カット工法）

はつり工法（壁カット工法）は、窓全体を取り替える工法です。この工法では、まず外壁と窓を一緒に切り取り、全てを取り除きます。なお、窓が手の届かない位置にある場合は、足場の設置が必要になることもあります。

その後、新しい窓フレームを設置し、モルタルやサイディングなどを用いて外壁を再構築します。内部では壁紙の張り替えなどの仕上げが行われます。

メリットは、さまざまな種類の窓から選択可能な点や、新品の窓を取り付けることによって防水性能を高めることができる点です。特に、築年数が経過し、老朽化が進んでいる住宅には、この工法がおすすめです。

しかし、はつり工法（壁カット工法）は大規模な工事となり、その結果、施工費用も高くなります。窓の交換本数が多い場合、一本あたりの費用は割安になる可能性がありますが、その代わり工期は長くなります。

(2)カバー工法

カバー工法は、既存の枠に新しい枠を被せて、新しい窓やドアを取り付けるリフォーム方法です。この方法では、周囲の壁や床を工事する必要がなく、見た目を美しくしたり性能を向上させたりできます。

枠そのものを交換するはつり工法（壁カット工法）の場合は、壁や床を補修する必要があり、工事が大掛かりになるため、全体的に高コストになります。それに対してカバー工法では、既存の枠に手を加える必要がないため、最低限のコストで施工することができます。

その他にも、

• 壁を壊すなど大掛かりな工事がないため、騒音の発生が少ない
• 壁の補修などが不要なため、開口部分のみの小規模な工事になる
• 一箇所あたり数時間程度で取り付けが完了し、短期間で工事を終えられる

・内窓を付ける二重窓工法

サッシの交換にはなりませんが、遮熱や防音、防災などを目的としている場合は二重窓を取り付けるのもおすすめのリフォーム方法です。

二重窓（内窓）の設置は、外壁や内装の工事を必要とせずに行えます。現在の窓を採寸し、それに合わせた内窓を製作・取り付けするという手順で行われます。

特徴は、費用が安く、工期も1窓あたり1時間程度と手軽であることです。ただし、窓の選択肢が限られる、窓の形状によっては取り付けができない、といったケースもあるので、注意が必要です。

■戸建てのサッシ交換にかかる費用の相場

サッシ交換にかかる費用は、サッシ単体の価格にガラスの値段を加え、それに工賃を足して計算されます。ここでは仮に、カバー工法による施工で考えてみましょう。

サッシとガラスは性能と大きさによって費用が変わります。そのため、リビングなどに設置するような大きな窓の場合は、工賃を含め18万円～35万円程度が目安です。一方、中窓であれば12万円～25万円、小窓であれば10～20万円程度になります。

ただし、高性能な複合ペアガラスや防犯ガラスになると、ガラス代だけで10万円になることも。加えて、施工する窓の数が多い場合にはその分だけ費用がかさみます。

・サッシの性能にも注目

窓リフォームというと窓ガラスが注目されがちですが、近年は高性能なサッシも登場しています。

たとえばアルミ樹脂複合サッシは、従来のアルミサッシよりも熱が伝わりにくく、結露が起こりにくいのが特徴です。耐久性も十分であり、人気の製品です。

■戸建てのサッシ交換にかかる期間

サッシ交換の期間は工法によっても変わります。すでにご紹介したとおり、カバー工法であれば当日に完了するものも。リビングなどの大きめの窓であっても、1日程度で済みます。

一方、はつり工法（壁カット工法）の場合は、状況によって工期が左右されます。足場を組む必要があれば、最低でも2日程度はかかるでしょう。

なお、上記いずれの工法であったとしても、交換する窓の数が多ければ当然、工期も長くなります。スケジュールを気にされる方は、見積もりの際に工期について確認するようにしてください。

■まとめ

戸建ての窓リフォームは、マンションのように組合等の制限もなく、比較的自由に行えます。しかし、規模が広い分、費用が高くなってしまうことも考慮しなくてはなりません。予算が少ない場合には、カバー工法や二重窓設置で問題解決を図ってみたり、まとめて交換を依頼することで割引きをお願いしたりといった工夫も大切です。今回ご紹介した内容を踏まえて、後悔のない窓リフォームを行ってください。