ふかし枠とは?必要なケースや取り付け工程について
二重窓リフォームを行う際に出てくる「ふかし枠」。聞きなじみのない言葉だけに、どのようなものだろうと疑問に思う方も多いでしょう。
そこで今回は、ふかし枠が必要になる場面や、実際の取り付け工程について解説します。
■ふかし枠が必要な場面とは?
ふかし枠は、内窓設置に伴い必要となるスペースを確保するために用いられる部材です。具体的には、以下のような問題がある場合に設置を行います。
・窓枠の奥行き寸法が足りないとき。
二重窓へリフォームを行う場合には、そもそも外窓側に内窓分の奥行きが必要です。
しかし、窓の寸法はそれぞれ異なります。なかには、部材よりも奥行き寸法が短く、設置自体ができないような外窓も存在します。
こうした際に行うのがふかし枠の設置です。内窓設置に必要な奥行きを作れるため、さまざまなタイプの窓に対応できるようになります。なお、内窓のサイズはメーカーごとに異なるほか、状況に応じて必要となる奥行きも変わります。こうした際にも対応できるよう、ふかし窓にはさまざまな幅が用意されています。
・内窓インプラスを取付けると外窓の開閉に支障がでるとき。
内窓の設置を想定した際、外窓との距離が近すぎると、クレセントやハンドルがぶつかってしまうという物理的な問題が起こる可能性があります。この場合の解決策がふかし枠です。
外窓との間隔が広げることで、問題の解決が行えます。とくに、テラスドアではドアクローザーやハンドルが接触しないよう、必須となる施工といえます。
■ふかし枠を取り付ける場所
ふかし枠は窓枠正面の「見付け」部分に取付けます。ただし、窓がどのように設置されているかで、枠の取り付け方が変わります。
四方ふかし枠 | 腰窓や立ち上がりのある掃き出し窓には、上下左右の四方に対してふかし枠を設置する必要があります。なお、立ち上がりのある掃き出し窓の場合には、下枠部分に荷重がかかる可能性があります。そのため、床面からふかし枠を支える補強が必要になります |
三方ふかし枠 | フラットな床面の掃出し窓の場合には、上左右の三方にふかし枠を設置します。下枠への設置は不要です。なお、左右のふかし枠は床面に突き当てる形で取り付けます。また、窓枠の下枠については床面に直接取り付けることになります。 |
ちなみに、壁や天井、床に近い位置に設置された窓の場合、そのままではふかし枠の取り付けが難しい場合があります。これは、カバー材やコーナーカバーを取り付けられるだけのスペースの余裕がないためです。この場合は、それぞれの窓の状況に合わせて部材を造作し、ふかし枠の代わりにするケースもあります。
・窓枠の補強
窓枠が以下のように問題のある状態だった場合には、補強が必要です。
- 窓枠に腐朽や割れが発生している
- ネジが効かなくなってしまっている
- 劣化で窓枠の固定が甘くなっている
- 窓枠を固定するネジが緩んでいる
このままの状態でふかし枠を取り付け、内窓を設置してしまうと、最悪の場合内窓が落下する危険性もあります。そのため、状況に応じた窓枠の補強を行います。
■ふかし枠を取り付ける流れ
ふかし枠の設置はそこまで難しくはありません。以下で、DIYでも可能な取り付け手順をご紹介します。
・準備
まずはふかし枠を取り付ける面の段差をなくします。その後、取付面に合わせて部材の大きさを調節し、両面テープ等を使って貼り合わせます。縦枠と上部の段差がないかを慎重に確認して準備完了です。
・ふかし枠補強材の取り付け
四方ふかし枠の場合は、左右縦枠に対して補強材を取り付けます。このとき、開口部から部材がはみ出さないよう注意します。上下均等な位置を決めたらネジ止めをします。
次に上枠と下枠です。こちらも部材がはみ出さないよう注意しながら補強材を取り付けて、ネジ止めを行います。
・ふかし枠カバー材の取付け
縦枠から下枠の順に、カバー材の取り付けを行います。ガタツキがないかを確認しながら、音が鳴るまでしっかりと押し込みます。はじめに端、最後に中央部の流れで行うとよいでしょう。なお、ふかし枠にカーテンレールを直付けする場合には、この時点で補強材へネジ穴の目印を付けておきます。
・コーナーピース・コーナーカバーの取付け
ふかし枠にコーナーピースを取り付けていきます。窓枠が割れる可能性もあるため、はじめに下穴を開けておくようにしましょう。コーナーピースが取り付けられたら、あとはコーナーカバーを押し込んで完了です。以上で、ふかし枠の取り付けが終わりました。
■まとめ
YKKやLIXILなどの内窓設置では、ふかし枠が用いられる可能性があります。もしもリフォーム時にふかし枠という言葉が出てきた場合は、奥行きが足りていないのだと思っていただければほぼ間違いはありません。
なお、今回はふかし枠の取り付け手順もご紹介していますが、内窓の落下といった危険性もあるので、基本的には業者に取り付けを依頼しておくほうが安全です。