アルミサッシは素材が軽く、簡単に開閉できるところが大きな魅力です。ただし、金属は熱を伝えやすい性質があり、断熱性には問題があると指摘されています。部屋のサッシがアルミ製で熱の移動を遮断しにくい場合、何かしらの方法で対策する必要があるでしょう。そこで今回は、アルミサッシの断熱性が低い理由をふまえ、断熱性を向上する方法や断熱対策に使えるアイテムをご紹介します。

 

■アルミサッシの断熱性

アルミサッシは、軽量で使い勝手がよく強度もありますが、断熱性の低さが主なデメリットに挙げられます。

・サッシの断熱性とは

サッシの断熱性は、空気の出入りを遮断する性能です。

熱には、一般的に高いところから低いほうへ移動する性質があります。冬場、室内が暖かいとき、高温の熱は気温の低い屋外へと流れていきます。暖房をつけても、何も対策しなければ、室温の低下は避けられません。

室内の暖かい空気を外へ逃がさない方法のひとつが、サッシによる断熱です。サッシの断熱性が優れているほど温度の上がった室内の熱は屋外へ流出しにくくなり、室温は快適に保ちやすくなります。

そのため、サッシが高い断熱性を備えている場合、外気の影響力を弱めるのに効果があるといわれています。

・アルミの断熱性が低い理由

アルミの断熱性が低いのは、熱伝導率が高いためです。

さまざまな物質のなかで、金属は熱伝導の度合いが大きいといわれています。また、金属同士を比べた場合、アルミニウムは、銀や銅・金に次いで高い熱伝導率を備えています。

アルミニウムがサッシの素材として用いられたとき、基本的に優れた断熱効果は発揮されません。冬に室内の暖かい空気は外へ流れやすくなり、暖房の効率は下がる傾向が見られます。

そのため、部屋で暖房をつけても室温を保ちにくいところは、アルミサッシの大きな難点になっています。

 

■断熱性を向上する方法

アルミサッシの断熱性を向上するには、サッシに断熱するためのテープや塗料を施す方法が効果的です。

・断熱テープを貼る

断熱テープを貼る方法は、サッシの断熱性を簡単に改善できる手段として知られています。

作業内容はサッシにテープを貼るだけであり、多くの手間はかかりません。また、専用のテープは、ホームセンターやネットショップで手軽に購入できます。最近は色やサイズが多くなり、自分好みのデザインを選びやすくなりました。

テープを貼ればアルミサッシの断熱性を高める作業は完了するため、DIYに挑戦しても失敗するリスクは小さいと考えられます。

・断熱塗料を塗る

断熱塗料をサッシに塗る方法は、テープを貼るのに比べて高いスキルが求められる作業です。

普段、塗装作業に慣れていないと、この方法でDIYを試みるのは難しく感じるかもしれません。それでも、手間をかけて上手に塗れば、テープより仕上がりの見た目はよくなると期待できます。

なお、専用の塗料は、液体タイプやスプレータイプがあります。ホームセンターやネット通販で買うときは、自分が使いやすいタイプを選ぶとよいでしょう。

 

■断熱対策に使えるアイテム

アルミサッシの断熱対策に使えるアイテムとしては、「プラダン」や「遮熱断熱カーテン」が挙げられます。

・プラダンを活用

プラダンは、プラスチック製の段ボールです。

素材はプラスチックですが、ハサミやカッターで簡単にカットできます。窓のサイズに合わせてカットしてから室内側に貼れば、二重窓に近い断熱効果を得られるといわれています。

ただし、サッシを開閉しにくくなる場合があるため、貼り方を工夫する必要があるでしょう。

・遮熱断熱カーテンを設置

遮熱断熱カーテンは、外気温の影響を低減するのに効果のあるアイテムです。

カーテンの生地には特殊な樹脂が使われ、複数の層が重なる構造になっています。夏の暑さと冬の寒さをいずれも遮る機能があり、季節ごとに交換せず1年にわたり使用できます。

サッシの手前にカーテンをかければよいため、アルミサッシに手を加えず断熱の効果を高める対策としておすすめです。

・複合タイプに交換

アルミサッシで効果的に断熱できずリフォームする場合、複合タイプに変える方法があります。

複合タイプのサッシは、さまざまな素材が組み合わされている種類です。通常、室外側と室内側で異なる素材が使われ、それぞれのメリットが活かされる構造につくられています。

アルミ樹脂の複合サッシは、室外側がアルミ製、室内側は樹脂製のタイプです。この構造により、風雨などに対しては金属の強さが発揮されます。また、断熱性に優れた樹脂が室内側に用いられるため、室内を適温に保つ効果は上がると期待できます。

部屋のリフォームでサッシの強度を維持しつつ断熱効果を向上するなら、アルミ樹脂のサッシはおすすめです。

ただし、アルミ樹脂サッシも、欠点がないわけではありません。サッシの片側にアルミ素材が使われるため、樹脂製に比べるとサッシの断熱性は低下するとの声が聞かれます。

そのため、アルミサッシを交換するときは、断熱性を最優先するか強度も兼ね備えるかで新しい種類を選ぶのがよいと考えられます。

 

■まとめ

アルミサッシは、素材に熱伝導率のよい金属が使われることから、断熱に関して問題の見られるサッシです。何も対策せず使用した場合、室内は快適な温度を保ちにくくなると考えられます。

サッシの断熱効果を高める場合、複合タイプにリフォームする方法は選択肢のひとつです。断熱性とともに強度も重視するなら、金属と樹脂のメリットを備えるアルミ樹脂サッシはおすすめできます。