先進的窓リノベ2024の概要から申請までを詳しく解説

先進的窓リノベ2023を見ていた窓専門企業のマドプロが、
先進的窓リノベ2024を解説していきます。

補助金制度設立の背景から具体的な補助金の金額、
申請の流れまでを説明していますので、
補助金を使いたいけど良く分からないという方におすすめです。

昨年は内窓の受注過多で製品が納期通り届かないといった問題が発生しました。

昨年との変更点を見ながら今年に起こることも予想しながら進めていきたいと思います。

先進的窓リノベとは

先進的窓リノベ2024事業とは、環境省・経済産業省・国土交通省の3省が連携して取り組んでいる
『住宅省エネ2024キャンペーン』の1つです。

住宅省エネ2024キャンペーンには

『子育てエコホーム支援事業』

『先進的窓リノベ2024事業』

『給湯省エネ2024事業』

『賃貸集合給湯省エネ2024事業』 の4つがあります。

省エネ2024キャンペーンの中でも窓に特化しているものが先進的窓リノベ2024事業で、
補助の割合も特別大きいものとなっています。

先進的窓リノベ事業設立の背景

窓リノベに環境省が関わっている理由は、
『断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援』に取り組んでいるからです。

つまり、断熱窓に替えることで住宅から出るエネルギーやCO2を減らせるのです。

どうして窓を替えると省エネになるのか

どうして窓を替えると省エネになるのかというと、冷暖房効率が良くなるからです

普段エアコンで部屋を冷やしたり、温めたりしていますが、
この温めた熱は窓を伝って逃げてしまっています。

断熱性能の悪い窓であればあるほど逃げて行ってしまうので、
その分エアコンをガンガン稼働させなくてはなりません。

エアコンに限らずヒーターや電気ストーブも電気で動いています。

2021年の日本の電気は72.9%が火力発電によって作られていました。

火力発電は化石燃料を燃やして電気を作っていますが、
その際に
温室効果ガスを排出します。

つまり、電気の使用量が減ればその分温室効果ガスの排出を減らすことができ、
電気の使用量を減らすために
今窓が見直されているのです。

日本の窓事情 日本の窓は寒すぎる

諸外国に比べて、日本の窓の断熱性能はかなり悪いです。

例えば

ドイツ

1.3w/(㎡・K)

イギリス

1.8w/(㎡・K)

フランス

2.1w/(㎡・K)

韓国

2.5w/(㎡・K)

中国

2.5w/(㎡・K)

といったように、定められたU値(熱貫流率)を上回ることが義務になっています。

これに対し、日本では『次世代省エネ基準』という基準がありますが、この基準は義務ではなく推奨になっています。

次世代省エネ基準

北海道・東北

2.3w/(㎡・K)

宮城・山形・福島・栃木・新潟・長野

3.5w/(㎡・K)

沖縄を除くその他の都道府県

4.7w/(㎡・K)

基準からして諸外国に比べて低い上に、
義務ではないので平均するともっと悪い状況になっています。

今日本にある住宅を住宅ストックといいますが、
住宅ストックの断熱性能を見てみると約3割が無断熱であることが分かります。

健康被害

家が寒いと血管や脳にダメージを与え、様々な健康被害が出てきます。

特に、寒い部屋と暖かい部屋の温度差が大きいほど体へ負担が掛かり、ヒートショックが起こってしまうこともあります。

日本ではヒートショックで亡くなる方が、
交通事故でなくなる方より多いので、
車よりもむしろ家の方が人を殺しているのです。

日本に高性能窓が普及しない理由

日本に高性能窓が普及しない理由に挙げられるのは

  • 窓断熱に関する法的な義務がないこと
  • 窓は交換がしにくいこと
  • 住んでいる方の窓に関する関心が薄いこと    です。

    1は上記でご説明した通り、基準はありますがあくまで推奨のため義務化にするなど対策が急がれます。

    2ですが、窓は壁ではなく柱に取り付けられます。

    上記図のように、一般的な木造建築だと柱に取り付けた窓の上から隠すように壁を取り付けます。

    したがって、窓を交換しようとすると壁を壊して、柱から窓を外さなければならず交換作業に5日ほど掛かってしまいます。

    この問題を解決するために、壁を壊さなくても窓を新しくすることができるカバー工法商品が開発されました。

    カバー工法の開発により、工期が5日から1日に短縮でき、費用も抑えることが出来ます。

    このカバー工法は先進的窓リノベの対象商品になっています。

    3については、皆さんに窓に目を向けていただくためにも住宅省エネ2024キャンペーンという形で各省が補助金を出すなど施策が打たれています。

    先進的窓リノベ2024について

    概要

    対象となる住宅のリフォーム

    申請者

    工事施工業者

    要件

    ・対象工事を行うリフォーム

    ・1申請辺りの合計補助額が5万円以上

    ・下記の基準を満たす窓(ガラス・サッシ)・ドアの断熱工事であること

    熱貫流率1.9以下等、建材トップランナー制度2030年目標水準値を超えるもの等、一定の基準を満たすもの

    期間

    令和5年11月2日以降に対象工事に着手したもの

    令和6年12月31日までに工事が完了するもの

    補助対象

    対象工事:住宅所有者が実施する窓・ドアの断熱改修工事

    対象となる住宅:

    既存住宅

    建築から1年が経過した住宅、または過去に人が居住した住宅 

    ※建築日は、原則、検査済証の発出日

    住宅所有者等

    住宅を所有し、居住する個人またはその家族

    住宅を所有し、賃貸に供する個人または法人

    賃借人

    共同住宅等の管理組合・管理組合法人

    対象外

    買取再販事業者

    (自社対象物件を自社で施工する場合)

    非住宅・併用住宅(居住スペース以外)

                       

    補助対象にならないリフォーム

    補助事業に要する経費が補助額に満たない工事

    ドアだけを交換する工事

    店舗併用住宅等の住宅以外の部分の工事

    住宅の所有者等が住宅設備を購入し、その取り付けを住宅事業者に依頼する工事

    (施主による材料支給はダメで、材工で依頼しなければいけません)

    リース設備の設備工事

    中古品を用いた工事

    工事内容別熱貫流率の基準

    これは工事業者様が計算をする内容ですので、施主の方は次項目へ進んでください。

    先進的窓リノベの補助額

    グレードとは製品の性能のことを指します。

    同じ大きさを見てもグレードによってこのように補助額が大きく変わります。

    窓は人生の中で1回か2回くらいしか買わないものですので、せっかくリフォームをするなら良いグレードのものを選んでみてはいかがでしょうか。

    先進的窓リノベ2024事業と併用できる補助金

    現行の補助金制度はほとんどが併用できます。

    ただし条件がありますのでご確認ください。

    先進的窓リノベの申請の流れ

    先進的窓リノベの申請は、事業者登録が済んでいる事業者が行います。

    ※一般消費者は申請者になれません。

    事業者登録の方法はこちらに詳しく説明してますので参照してください。

    先進的窓リノベの申請までの流れは

    Step1

    工事請負契約・売買契約

    Step2

    事業者登録

    Step3

    完了・引き渡し

    Step4

    交付申請

    Step5

    交付決定・補助金交付

    Step6

    補助金分還元

    交付申請ができるのが、Step3の工事が完了し引き渡しが終わった後からです。

    昨年の先進的窓リノベ2023事業の時は、特に内窓の注文が殺到し、
    メーカーの製造が追いつかず製品納期が3ヵ月掛かっていました。

    工事を決め、契約を交わした後3ヵ月待ちとなっていたので現場はかなり混乱したことでしょう。

    その後納期は正常に戻りましたが、
    今年の補助金も昨年より予算を多めにして始まりますので納期が乱れることが予想されます。

    工事完了の時期を確認し、余裕を持ってリフォーム計画を立てていきましょう。

    交付申請の予約

    令和6年3月下旬から、交付申請の予約ができるようになります。

    交付申請の予約とは、工事着手後に申請額を確保する方法です。

    工事を始めてから完了・引き渡しまで時間が掛かるリフォームについてはあらかじめ申請額を確保することで安心して引き渡しを待つことが出来ます。

    ただし、予約申請後3ヵ月までに交付申請がなかった場合は、その予約は取り消されます。

    予約はあくまで申請額の確保であり、完了・引き渡し後の正式な申請をし、交付の決定がなされて確定されます。

    工事の着手は実際におうちに手を入れ始める段階ですので、納期待ちは工事の着手にはあたりません。

    製品の納期が遅れているからといって申請の予約が出来るわけではないので注意しましょう。

    申請に必要なもの

    本補助金の利用について工事発注者が同意する共同事業実施規約(指定の書式)

    工事請負契約書の写し

    工事発注者の本人確認書類

    個人:住民票の写し、運転免許証の写し等

     法人:商業法人登録の写し等)

    工事を実施する住宅に係る書類(登記事項証明書の写し等)

    ※申請額が30万円以上の場合に必要です。

    対象工事内容に応じた性能を証明する書類

    (工事個所ごとに提出)

    性能を証明する書類

    (性能証明書・納品書等)

    工事前写真

    工事後写真

    工事着手したことが分かる写真(交付申請ごとに1枚必要)

    ※交付申請の予約の場合のみ:工事個所に不可逆的な変化が確認出来る写真が必要です。

    特に注意してほしいものが『工事前写真』です。

    工事個所ごとの写真が必要になりますので、10箇所なら10枚の写真が必要になります。

    工事前の写真は施工業者が撮ってくれると思いますが、工事完了した後に撮り忘れたとなってしまうと書類不備になってしますので注意してください。

    まとめ

    先進的窓リノベの設立背景から申請の流れまでを見てきました。

    ・日本の住宅は寒すぎる!

    ・寒すぎる日本の住宅で暮らすには冷暖房をフル稼働させないといけない!

    ・日本の電気のほとんどは火力発電で作られている!

    ・電気を使い過ぎないで生活していくためにも今窓が見直されている

    が先進的窓リノベの設立背景です。

    ・補助金の申請者は工事業者

    ・申請できる要件は1申請あたり5万円以上の補助額があること

    対象は住宅で、事務所や学校には使えない

    製品のグレードによって補助額が大きく変わってくる

    ・他の補助金と併用できるが条件がある

    ・申請は完了・引き渡しを受けた後からできる

    ・交付の予約があるが、着手が条件となっている

    が先進的窓リノベの概要でした。

    この補助金の特徴は『窓』と『補助率』です。

    少子高齢化が顕著な日本で、ヒートショック問題など実際に住宅での健康被害が問題になってきています。

    断熱というキーワードも良く聞くようになってきましたが、原因の多くを窓が占めていることが分かっています。

    これを解決するために国が半分出しますよという制度が先進的窓リノベです。

    窓に対して、補助率50%の補助金制度はこれまでありませんでした。

    この機会にご自宅の窓を見直してみてはいかがでしょうか。