玄関のカバー工法のメリットとデメリットは?判断基準を解説
「カバー工法で玄関ドアリフォームを考えているのだけど、メリットだけではなくデメリットも知っておきたい」
「本当にカバー工法でリフォームしていいのか、決め手に欠ける」
と思っていませんか。
カバー工法で玄関ドアのリフォームを行う際には、以下のようなメリットやデメリットがあります。
メリット |
デメリット |
・壁を壊さないので費用がかなり安い ・壁を壊さなくても十分な性能向上が期待できる ・1日で工事が完了する
→費用も安く、早く、ドアの機能も向上し、日常生活の満足感が上がる! |
・ドアのサイズが小さくなる ・下枠に段差ができる ・ドアの種類や性能によってリフォーム費用が異なる
→いずれも事前確認や対策、補助金によって解決が可能! |
上記のデメリットについては、事前にドアのサイズを計測したり、段差緩和材を使ったりする、補助金を利用したりするなどの対策をすることで、対応できます。
つまりデメリットをふまえても、後悔することは基本的にはありません。
玄関ドアのリフォームを考えている人すべてにオススメできるリフォームだと言えるでしょう。
本記事では、以下についてお伝えしていきます。
本記事でわかること |
・玄関ドアのカバー工法、3つのメリット ・玄関ドアのカバー工法、3つのデメリット ・カバー工法で玄関ドアリフォームをすべきかどうかの判断基準 ・玄関ドアのカバー工法リフォームに利用できる補助金 ・玄関ドアのカバー工法で失敗しないためのポイント2つ |
本記事を参考にして、玄関ドアカバー工法のメリットやデメリットを理解し、満足行くリフォームを行うために、補助金や業者選びについて必要な知識を身につけていきましょう。
■目次
3. 【結論】玄関ドアをリフォームしたいならカバー工法を選んでまず問題ない!
4. 【最大22万円】玄関ドアのカバー工法リフォームに利用できる補助金7つを活用しよう
1. 玄関ドアのカバー工法|3つのメリット
「カバー工法で玄関ドアをリフォームすると、どんなメリットがあるんだろう」
「カバー工法って何が良いのかイメージできないな」と思ったことはありませんか?
カバー工法で玄関ドアのリフォームを行うと、以下のようなメリットがあります。
・壁を壊さないので費用がかなり安い
・壁を壊さなくても十分な性能向上が期待できる
・1日で工事が完了する
以下でひとつずつ解説していきます。
1-1. 壁を壊さないので費用がかなり安い
玄関ドアのリフォームと聞くと、費用がかなりかかるのではないかと思うかもしれませんが、壁を壊したりする大掛かりな作業が不要のため、目安として20万円台からリフォームが可能です。
壁を壊す工法の場合は、目安として100万円〜200万円ほどかかることを考えると、カバー工法による玄関ドアリフォームは費用が安いと言えるでしょう。
費用について詳しくは、「2-3. ドアの種類や性能によってリフォーム費用が異なる」で解説します。
1-2. 壁を壊さなくても十分な性能向上が期待できる
玄関ドアのリフォームは、壁を壊さずカバー工法でも十分な性能向上が期待できます。
その理由は、以下のような機能を強みとする玄関ドアが各社から販売されているからです。
・断熱性アップ
・防犯性アップ
・採光性アップ
・風通しアップ
いくつか事例を見ていきましょう。
「玄関が寒い」などの理由で断熱性アップを希望する場合は、高断熱性能を持つドアを選ぶことで解決します。
下記は、寒さ対策として築40年の玄関ドアを、カバー工法で高断熱ドアにリフォームした事例です。
Before |
After(断熱性アップ) |
施工前はガラスも多かった玄関を、高断熱タイプのドアにリフォームしました。
防犯性を高めたいのであれば、最低限2か所にキーを設置する2ロックのドアを選びましょう。
下記は、2ロック装備の玄関ドアにリフォームをした事例です。
Before |
After(防犯性アップ) |
このように、カバー工法であっても、希望する性能向上が問題なく実現すると言えます。
【では、壁を壊す工法のメリットとは?】
壁を壊す工法は、費用や時間がかかり、騒音や防犯面の不安がありますが、メリットとしては以下が挙げられます。
・ドアのサイズが小さくならない ・ドアのサイズを大きくできる ・ドアの位置を変更できる
壁を壊し枠ごと交換するため、玄関ドアのサイズや位置を自由に変更することが可能です。 逆に言えば、これだけです。 これらのメリットを求めていない場合、あえて壁を壊す必要はないのです。 |
※ただし、現状のドアの劣化がひどすぎるなど、カバーをすることに不安を感じる場合は壁を壊して取り外す必要があります。
1-3. 1日で工事が完了する
カバー工法での玄関ドアリフォームは、わずか1日で工事が完了します。
リフォームと聞くと長期間かかるイメージがあるかもしれませんが、カバー工法は壁を壊したりといった大掛かりな作業ではないため、専門業者が行えば朝スタートして夕方までには完了します。
壁を壊す工法では騒音が大きく、夜をまたぐため不審者の侵入といった不安がありますが、カバー工法ではそのような心配をする必要がないのもメリットと言えるでしょう。
2. 玄関ドアのカバー工法|3つのデメリット
玄関ドアのカバー工法は、デメリットとして以下が挙げられます。
・ドアのサイズが小さくなる
・下枠に段差ができる
・ドアの種類や性能によってリフォーム費用が異なる
いずれもカバー工法でのリフォームを断念するほどの大きなデメリットではありませんが、それぞれ理解しておきましょう。
以下で、詳しく解説していきます。
2-1. ドアのサイズが小さくなる
カバー工法では、既存のドア枠の上に新しい枠を被せていくため、その分玄関ドアのサイズが小さくなってしまいます。
新しいドア枠の分だけ開口サイズが小さくなるからです。
リフォーム後は、下図のように幅が計5cm、高さが計3cmほど幅が狭くなるため、日常的にベビーカーや車椅子を使用している場合は、リフォーム前に問題なく通れるかどうかを確認しておきましょう。
事前確認を忘れずに |
玄関ドアの幅が5cm、高さが3cmほど狭くなっても、問題なく出入りできるかどうか確認しておく! |
2-2. 下枠に段差ができる
前述したように、カバー工法では既存のドア枠にかぶせて新しい枠を設置するため、どうしてもその分の段差が数センチ程度下枠に生まれてしまいます。
玄関に段差があると、ベビーカーや車椅子の出入りに不便が生じるだけではなく、つまづいてケガなどの事故につながりやすくなります。
段差が気になる場合は、オプションで緩和材を入れるなどして傾斜を設け、段差をなくすようにすることで、不具合を解消していきましょう。
下枠にできる段差対策 |
段差緩和材を設置して、段差をなくす! |
2-3. ドアの種類や性能によってリフォーム費用が異なる
玄関ドアの種類や性能によって、リフォーム費用が異なることを認識しておいてください。
以下は、リフォーム費用の大まかな目安です。
玄関ドアリフォーム費用の目安 |
||
ドアの種類 |
性能 |
費用 |
片開き |
なし |
10万円台 |
片開き |
断熱 |
20万円台 |
片開き |
高断熱 |
30万円台 |
両開き |
断熱 |
40万円台 |
両開き |
断熱+防火、断熱+通風 |
50万円台 |
リフォーム費用は10~50万円台と差がありますが、断熱機能などを持たない片開きドアの交換であれば、10万円台から可能です。
断熱性や防火性を求めるとドアの金額が上がるため、最低でも20万円以上は必要と考えておきましょう。
高断熱機能を求めるのであれば30万円以上が目安です。
想像よりもリフォーム費用が高いと感じる場合、費用がデメリットになる可能性もあります。
しかし、4章で説明する補助金をうまく利用することで、費用を抑えることができるでしょう。
【マンションの玄関ドアリフォームは、個人判断ではできないケースが多い】
マンションの場合、玄関ドアが共有部分となるため、個人判断ではリフォームを行えないケースが多いです。
玄関ドアの改修や交換を行う場合は管理組合で協議後決定し、大規模修繕などの際にすべての居住者がリフォームするケースが一般的と言われています。
詳しくは、お住まいのマンションの管理規約をご確認ください。 |
3. 【結論】玄関ドアをリフォームしたいならカバー工法を選んでまず問題ない!
繰り返しになりますが、玄関ドアのカバー工法のメリットとデメリットを挙げると、以下のようになります。
メリット |
デメリット |
・壁を壊さないので費用が安い ・壁を壊さなくても十分な性能向上が期待できる ・1日で工事が完了する
→費用も安く、早く、ドアの機能も向上し、日常生活の満足感が上がる! |
・ドアのサイズが小さくなる ・下枠に段差ができる ・ドアの種類や性能によってリフォーム費用が異なる
→事前確認や対策、補助金によって解決が可能! |
デメリットについては、ドアサイズが小さくなったり、下枠に段差が生じたりすることがありますが、事前に寸法をしっかり計測し、必要に応じて段差緩和材を使用することで、問題なく対応できます。
玄関ドアには制作可能寸法があり、人の出入りが問題になるほど小さいドアは作れないので、現状のドアがよほど小さいなどの問題がなければ、ドアサイズが一回り小さくなることはあまり気にならなくなります。
費用に関しても、補助金を利用することで負担を軽減することができるため、デメリットというほどのものではないと言えるでしょう。
つまり、玄関ドアのリフォームを考えている人には、カバー工法はメリットがデメリットを大幅に上回るため、迷う必要がなく非常にオススメであるとお伝えできます。
実際にどのような性能のドアを選ぶかは、予算と相談になりますので、専門業者に相談して最適な判断をしていきましょう。
4. 【最大22万円】玄関ドアのカバー工法リフォームに利用できる補助金7つを活用しよう
「カバー工法で玄関ドアをリフォームするなら、費用をできるだけ抑えたい」と思いませんか?
そのような時は、国や地方自治体が実施している玄関ドアリフォームを対象した補助金を利用するのがオススメです。
たとえば「先進的窓リノベ補助金」を利用すると、以下の方は8万7000円ですが、最大22万円の補助金が支給されます。
窓リノベ2024の現調してもらった。
リフォーム用の玄関ドアは現状Aグレードまでしかないようで片開きの場合は87,000円の補助金になりそう。
あと、採光窓が付いているとAグレードにも入らないので選択肢はかなり限られていた。 pic.twitter.com/56TMXyfGQJ— Nobuki Inoue (@black_trooper) December 27, 2023
なお、補助金を利用する際には玄関ドアだけではなく窓リフォームが必須な場合もあるため、申請条件もチェックしていきましょう。
・玄関ドアのカバー工法リフォームに利用できる補助金7選
・補助金申請の際の注意点
以下で詳しく解説していきます。
4-1. 玄関ドアのカバー工法リフォームに利用できる補助金7選
玄関ドアのカバー工法リフォームに利用できる補助金制度については、以下をご覧ください。
玄関ドアのカバー工法リフォームで利用できる補助金7選 |
|||
名称 |
対象要件 |
補助金上限額 |
ドアのみ改修 |
(国土交通省) |
・リフォーム ・新築(子育て世帯、若者夫婦世帯) |
・【必須】断熱改修目的:4万9000円 ・【オプション】防犯目的:5万4000円、騒音目的:3万7000円 |
可 |
(環境省) |
・建築から1年以上経過した住宅 ・補助金額が5万円以上 |
・断熱目的の窓改修+断熱目的のドア交換:ドア、窓とも各22万円 |
不可 |
(国土交通省:令和5年度の例) |
・ZEH仕様で登録されている製品を用いたリフォーム |
・断熱目的の窓改修+断熱目的のドア交換:費用の40%もしくは35万円 |
不可 |
(国立研究開発法人) |
・事前検査を受け、指摘箇所を改修 |
・断熱ドア設置:費用の3分の1 |
可 |
(経済産業省) |
・指定製品を使用する |
・外張り断熱もしくは内張り断熱改修+ドア断熱改修:費用の2分の1もしくは400万円 |
不可 |
(厚生労働省) |
・要支援・要介護認定を受けている |
・引き戸等へのドア交換:18万円 |
可 |
(東京都) |
・東京都民 |
・高断熱ドア改修:費用の3分の1もしくは16万円 |
可 |
「子育てエコホーム支援事業」と「先進的窓リノベ2024事業」など、併用が可能なものもありますが、合計補助金額の上限が設定されているため、単純に上限額を足した金額が支給されるわけではありません。
補助金の申請受付がスタートして数カ月後には締め切りになってしまうケースもあるため、リフォーム工事の段階で補助金申請が定員に達し、締め切られている場合があることを念頭に置いておきましょう。
4-2. 補助金申請の際の注意点
前述した補助金の多くは、玄関ドア単体の改修では補助金が下りず、窓改修と同時利用が条件のケースが多いため注意が必要です。
また、介護保険の住宅改修以外は、断熱性能の向上が必須とされています。
玄関ドアのリフォームであれば、自動的に補助金対象となるわけではないことに注意しましょう。
5.【要チェック】カバー工法リフォームで失敗しないためのポイント2つ
「カバー工法で玄関ドアのリフォームをしよう」と決めたら、工事を失敗させないために、以下のポイントを必ずチェックしましょう。
・DIYはやらない
・悪質な業者を選ばないようにする
以下で、ひとつずつ解説していきます。
5-1. DIYはやらない
カバー工法での玄関リフォームですが、「得意だから自力でDIYしよう」と自己判断せずに、必ず信頼できる業者に依頼してください。
業者に依頼した場合ですら、良くない業者の場合、「カバー工法でリフォーム後に、玄関ドアからすきま風が入って寒い」というトラブルも起こっています。
ましてや個人でリフォームした場合、少しの寸法のズレや設置方法が原因でドアにスキマが生じたりと、不具合が起こる可能性が高くなるでしょう。
その結果、期待した効果が得られないだけではなく、再度プロの業者に依頼する手間や費用が発生してしまい、二度手間になってしまいます。
また、前述した補助金を利用する際には、リフォーム業者と工事請負契約を締結して行う必要があり、個人のリフォームでは補助金が利用できないため注意が必要です。
5-2. 悪質な業者を選ばない
「玄関ドアのカバー工法リフォームを行います」と看板を掲げている業者は数多くありますが、なかには悪質な業者も混じっています。
以下のような業者には、決して工事を依頼しないようにしてください。
✗悪質な業者の特徴✗ |
・ホームページに施工事例や顧客の感想が掲載されていない ・メールの文章や電話の言葉遣いが丁寧ではなく、ぞんざいである ・他社との相見積もりを取ることを嫌がる ・すぐに契約するよう迫ってくる ・見積もりに記されている費用の内訳が不明瞭 |
そもそもホームページに事例や顧客の感想が掲載されていない場合、そのような業者は選ばないかもしれません。
しかし、一見ホームページは良さそうでも、問い合わせをしてみたら言葉遣いが乱暴だったり、他社との相見積もりを取ることを嫌い契約を迫ってきたりする業者は要注意です。
業者の勢いに押されて契約を結ばないように気を付けてください。
リフォーム後に不具合などのトラブルが生じた際にも、問題のある業者は適切なアフターケアを行わない可能性があります。
業者を選ぶ際には、以下のポイントに着目していきましょう。
業者選びのチェックポイント |
・ホームページに写真付きの施工事例や顧客の口コミがある ・見積例がホームページに掲載されており、どのような項目が見積に含まれていればよいかがわかる ・依頼をしてから2〜3日中に見積を発行してくれる ・相見積もりを取ることを嫌がらない ・費用や工事内容の疑問質問に対する返答がわかりやすい |
気になる業者が見つかったら、問い合わせフォームから見積もりを依頼し、料金はもちろん、対応の様子も含めて最も良い業者を選ぶようにしてください。
6. まとめ
本記事では、カバー工法で玄関ドアリフォームをする際のメリットやデメリットを中心に、リフォームするべきかの判断基準や、利用できる補助金についてお伝えしてきました。
玄関ドアのカバー工法のメリットとデメリットは以下のとおりです。
メリット |
デメリット |
・壁を壊さないので費用が安い ・壁を壊さなくても十分な性能向上が期待できる ・1日で工事が完了する
→費用も安く、早く、ドアの機能も向上し、日常生活の満足感が上がる! |
・ドアのサイズが小さくなる ・下枠に段差ができる ・ドアの種類や性能によってリフォーム費用が異なる
→事前確認や対策、補助金によって解決が可能! |
デメリットについては、事前に寸法をしっかり計測し、必要に応じて段差緩和材を使用したり、補助金を利用したりすることで問題なく解決できます。
つまり、玄関ドアのリフォームを考えている人には、カバー工法はメリットがデメリットを大幅に上回るため、迷う必要がなくオススメであると言えます。
本記事が、カバー工法による玄関ドアのリフォームを検討している方の参考になれば幸いです。