カバー工法のメリットとデメリットは?窓をリフォームするときの判断基準を解説
「カバー工法を考えているけれど、メリットだけではなくてデメリットも知りたい」
「うちの窓、カバー工法でリフォームするのが本当に最適なのだろうか?」
と思っていませんか。
結論からお伝えすると、窓をカバー工法でリフォームする際には、以下のリットやデメリットがあります。
メリット |
デメリット |
→現状の悩みが解決して快適な暮らしが手に入る(性能向上)だけでなく、細かい部分も含めて総合的に高い満足度が得られやすい! |
→少数ですが不便に感じる人もいる! |
・断熱効果が期待できる ・結露対策が期待できる ・窓の開閉方法を変更できる ・サッシのゆがみが改善される ・サッシ交換で見た目を変更できる |
・ガラスサイズが小さくなる ・下枠に段差ができる
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以上をまとめるとカバー工法を導入すべきかどうかについて以下になります。
基本的に全員におすすめ! カバー工法は窓の性能向上(現状のお悩みが解決して快適な暮らしが手に入る)だけでなく、使い勝手が良い、見た目が良い、などの細かなメリットが多く、総合的に満足している人が多いため |
ただし、少数ながら向いていない人もいるので注意が必要です。
▼例外的に向いていない可能性がある人(当てはまらないか要チェック) ・日当たりの良さを重視している ・部屋が暗くなるのを避けたい ・大きい窓ガラスにこだわりがある ・洗濯物干しなどで頻繁に出入りする場所である ・家族に足が不自由な人がいる |
本記事では、以下について詳しくお伝えしていきます。
本記事でわかること |
・カバー工法で窓リフォームをするメリット ・カバー工法で窓リフォームをするデメリット ・カバー工法で窓リフォームをすべきかどうかの判断基準 ・カバー工法の窓リフォームで後悔しないためのポイント ・カバー工法の窓リフォーム、費用や工事期間 ・カバー工法の窓リフォームに利用できる補助金 |
本記事を参考にして、カバー工法で窓リフォームをするメリットやデメリットを理解し、どのようなリフォームを行うべきか判断していきましょう。
1. カバー工法で窓リフォームをする6つのメリット
カバー工法で窓をリフォームすると、住まいの快適性が高まる以下のようなメリットがあります。
・断熱効果が期待できる
・結露対策が期待できる
・窓の開閉方法を変更できる
・サッシのゆがみが改善される
・サッシ交換で見た目を変更できる
・掃除の手間が内窓に比べて少ない
それぞれのメリットが日常生活にどのような影響を与えるのかも含め、以下で詳しく解説していきます。
1-1. 断熱効果が期待できる
断熱性が高いガラスを用いてカバー工法を行うことで、窓の断熱効果が期待できます。
単板ガラスは断熱性能が低く、室内から熱が逃げやすい構造です。しかし断熱性が高いガラスを設置することで気密性も上がるため、冷暖房の効きが良くなり、電気代の節約にもつながります。
また、サッシを新しくすることで、ゆがみが改善されスキマがなくなるため、スキマ風も入りづらくなり、冬場は室内がより暖かくなるでしょう。夏場はエアコンで冷やされた室内の冷気が外に逃げにくくなるため、より涼しさを感じることができます。
ご参考までに、窓から入り込んでくるスキマ風の寒さで悩まれていた住宅の窓をカバー工法でリフォームした事例は下記になります。
Before |
After |
窓からのスキマ風で寒い! |
高断熱ガラスに変更して暖かい部屋に! |
サッシが古く、スキマ風が入り込んで寒さが気になるということで、断熱性の高いガラスに変更し、内部樹脂製のサッシで施工しました。
その結果、寒さがなくなり暖かい部屋になっただけではなく、サッシが新しくなったため、経年劣化による窓の開閉のしづらさも改善したそうです。
1-2. 結露対策が期待できる
冬の朝、窓にびっしりとついている結露に悩んでいる場合、カバー工法で窓リフォームをすることで結露が起こりづらくなることが期待できます。
窓の結露は、室内の水蒸気が窓際で冷やされることにより発生します。朝方は気温が下がるため、外気温と室内温度の差が激しく、室内の空気が冷え切った窓ガラスに当たって冷やされ、水蒸気となり大量の結露となってしまうのです。
断熱性の高い窓ガラスを設置すれば、内側の窓の温度はそれほど下がりません。そのため、室内の空気が窓ガラスに当たってもそれほど冷えないため、結露が発生しづらくなるのです。
ご参考までに、結露で悩まれていたマンションの窓をカバー工法でリフォームした事例が下記になります。
Before |
After |
結露がひどい! |
結露が解消! |
断熱サッシを使用し、カバー工法でリフォームを行ったところ、結露の悩みから解消されたそうです。
サッシや窓ガラスを断熱性が高いものに変更することで、窓全体の結露対策になると言えます。
1-3. 窓の開閉方法を変更できる
カバー工法では、窓の開閉方法を変更することが可能です。
たとえば、もともとは開閉できないFIX窓だったものをすべり出し窓に変更したり、その逆にしたりと希望に応じて変更できます。
ご参考までに、開けづらくて困っていたすべり出し窓を、レバーを回すだけで簡単に開閉できるジャロジー窓にリフォームした事例が下記になります。
Before |
After |
窓の手前に物を置くと邪魔で開閉しづらい! |
窓の手前に物を置いても問題なく開閉できる! |
すべり出し窓は、奥に手を伸ばして窓を開閉する必要があるため、窓枠に物を置くと開閉しづらいという弱点がありました。
しかし、カバー工法でリフォームしてジャロジー窓にすることで、レバーをくるくる回すだけで開閉できるため、窓枠に物を置いても邪魔になることがなくなったそうです。
浴室など、換気が必要で頻繁に開閉する窓は、このようにカバー工法で開閉方法を変更することで、使いやすい窓に生まれ変わるでしょう。
1-4. サッシのゆがみが改善される
カバー工法を採用すると、既存のサッシのゆがみが改善され、スキマをなくすことができます。
スキマがなくなることで気密性が向上し、冷暖房の効率アップが期待できるだけでなく、ゆがみが原因で開閉しづらかった窓もスムーズに開閉できるようになるでしょう。
これまで、「スキマ風が入り込んで寒い」「窓を開け閉めするときに重くて大変」という悩みがあった人にとっては、カバー工法でサッシのゆがみが改善されることは大きなメリットと言えます。
ご参考までに、窓のゆがみに悩まされていた窓をカバー工法でリフォームした事例は下記になります。
Before |
After |
窓がゆがんで結露もひどい! |
窓のゆがみも結露も解消! |
窓がゆがんで開閉の際のがたつきや結露が発生するといった問題がありましたが、カバー工法でリフォーム後は、これらの問題が解消されたそうです。
1-5. サッシ交換で見た目を変更できる
カバー工法では古いサッシの上に新しいサッシをかぶせるため、サッシの色など見た目を変更できます。
たとえば、黒や白のサッシだったものを木目調に変えたり、汚れが目立つサッシを新品に変えることで、見た目がキレイになり雰囲気も大きく変わるでしょう。
ご参考までに、経年劣化で動かなくなっていた木製窓をカバー工法でアルミ窓にリフォームした事例は下記になります。
Before |
After |
サッシが古く、窓が開かない! |
窓も開くようになり、見た目もキレイに! |
以前は古くなったサッシのカビで見た目も良くなかったものが、カバー工法でリフォームしたらすっかりキレイな見た目に変わったそうです。
1-6. 掃除の手間が内窓に比べて少ない
カバー工法のメリットとして、内窓と比べると掃除の手間が少ないことが挙げられます。
内窓を設置する場合、外窓と内窓の両方を掃除する必要があります。掃除は日常的に発生するため、「窓のリフォームをしたら掃除が面倒になった」という事態を避けたい人にとっては、内窓ではなくカバー工法を採用するメリットが大きいと言えるでしょう。
2. カバー工法で窓リフォームをする2つのデメリット
カバー工法のデメリットとして、以下が挙げられます。
・ガラスサイズが小さくなる
・下枠に段差ができる
カバー工法の窓リフォームを成功させるために、デメリットについても理解しておきましょう。
以下で、詳しく解説していきます。
2-1. ガラスサイズが小さくなる
カバー工法では、もともとあるサッシの上に新しいサッシを被せるため、その分窓ガラスのサイズが上下約7㎝、左右約5㎝程度小さくなってしまうことがデメリットです。
大きい窓であればあまり見た目や日当たりへの影響はないかもしれませんが、小さい窓をカバー工法でリフォームした場合は、ガラスサイズが小さくなることで、想像以上に日当たりが悪くなる可能性もあります。
上記のように大きな掃き出し窓であれば、ガラスサイズが小さくなっても問題ないかもしれません。
しかし、以下のような小さめのサイズの窓で、さらにガラスサイズが小さくなると日当たりに問題が出る可能性があるため、注意が必要です。
ガラスサイズが小さくなるのがデメリットになるケース |
・日当たりの良さを重視している ・部屋が暗くなるのを避けたい ・大きい窓ガラスにこだわりがある |
2-2. 下枠に段差ができる
前述したように、カバー工法では既存のサッシにかぶせて新しいサッシを設置するため、どうしてもその分の段差が数センチ程度下枠に生まれてしまいます。
Before |
After |
上記は横浜市の住宅をカバー工法でリフォームした事例ですが、数センチ程度の段差が生まれてしまうため、ベランダの出入り口として使っている掃き出し窓などは、段差ができることでつまづいてしまう可能性があります。
慣れれば問題ないケースもあるでしょうが、家族の中に足が悪い人がいるなどの場合は、下枠に段差ができてしまう点を注意しておきましょう。
段差ができるのがデメリットになるケース |
・洗濯物干しなどで頻繁に出入りする場所で段差があると不便に感じる ・家族に足が不自由な人がいる |
3. カバー工法の窓リフォーム、費用や工事期間
カバー工法での窓リフォームを検討する際、気になるのは費用や工事期間ではないでしょうか。
・カバー工法の費用相場
・カバー工法の工事期間
費用が相場より安すぎるのも、高すぎるのも適切とは言えません。以下を参考にして、リフォームの計画を立てていきましょう。
3-1. カバー工法の費用相場
窓リフォームの場合、窓の大きさやどのような性能のガラスに交換するかによって費用が異なってきます。
以下は、一般的な窓ガラスに交換した場合のカバー工法費用の大まかな目安です。
窓1枚あたりの設置費用の目安 |
|
腰高窓 (60~100 cm × 100~150 cm) |
17~27万円程度 |
掃き出し窓 (100~160 cm × 190 cm) |
34~41万円程度 |
もし、より断熱性の高い窓に交換する場合は、さらに値段が高くなる可能性があります。
「腰高窓と掃き出し窓ってどこの窓?」と疑問に思う場合は、以下をご覧ください。
実際にいくら費用がかかるかは、ガラスの材質やサイズで変わってくるため、複数の業者で見積もりを取ってから決定することをオススメします。
複数枚のリフォームを検討していて予算オーバーになってしまう場合は、場所によってガラスの種類を変えるなどし、予算に合わせて調整していきましょう。
3-2. カバー工法の工事期間
カバー工法の工事期間は、1枚の窓あたり数時間〜半日程度が目安です。
リフォームと聞くと長期間かかるイメージがあるかもしれませんが、壁を壊したりといった大掛かりな作業ではないため、専門業者が行えば数時間〜半日程度で完了します。
カバー工法の作業工程は以下のとおりです。
上記では一連の作業が9時に始まり17時に終了していますが、これは複数枚リフォームをした場合と考えてよいでしょう。
4. カバー工法で窓リフォームをすべきかどうかの判断基準
「カバー工法のメリットとデメリットは理解できたけれど、我が家の窓はカバー工法でリフォームするのが本当に良いのだろうか?」とお悩みの方もいるかもしれません。
・カバー工法で窓リフォームをすべきケース
・カバー工法よりも内窓リフォームすべきケース
以下を参考にして、リフォームにおける優先事項を考慮しつつ、どの方法で窓リフォームを行うか判断していってください。
4-1. カバー工法で窓リフォームをすべきケース
1章で解説した、断熱効果や結露防止といったメリットを享受したうえで、以下に当てはまる場合は、カバー工法で窓リフォームをすべきです。
カバー工法でリフォームすべきケース |
断熱・結露防止したい 窓の開閉方法を変更したい サッシを新しくして見た目を変えたい 既存のサッシを20年以上使っている |
窓の開閉方法やサッシの見た目については1章で解説しましたが、既存のサッシを20年以上使用している場合も、カバー工法がオススメです。
サッシの寿命は一般的に20~30年と言われているため、寿命に近い場合はカバー工法でサッシごと変えたほうが良いでしょう。
ほかにも、掃除の手間が内窓に比べて少なかったり、サッシが新しくなることで窓の開閉がしやすくなったりなど、毎日の生活での満足度が上がっていくのがカバー工法の特徴です。
窓に関連する毎日のちょっとした手間を省きたい、ストレスを感じたくないという場合は、カバー工法で窓リフォームを行いましょう。
カバー工法は基本的に全員におすすめ!
カバー工法は窓の性能向上(現状のお悩みが解決して快適な暮らしが手に入る)だけでなく、使い勝手が良い、見た目が良い、などの細かなメリットが多く、総合的に満足している人が多いため |
▼例外的に向いていない可能性がある人(当てはまらないか要チェック) ・日当たりの良さを重視している ・部屋が暗くなるのを避けたい ・大きい窓ガラスにこだわりがある ・洗濯物干しなどで頻繁に出入りする場所である ・家族に足が不自由な人がいる |
4-2. カバー工法よりも内窓リフォームすべきケース
2章でご紹介したガラスサイズや段差といったデメリットが気になる場合は、カバー工法よりも現在使っている窓の内側にもう一枚窓を設置する内窓という方法があります。
内窓リフォームについて、こちらの記事で詳しく解説しているので気になる人はご覧ください。
▼関連記事: 内窓リフォームのメリット・デメリットを設置すべきか判断できる! |
カバー工法と内窓の特徴を比較すると以下になります。
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内窓(二重窓) |
カバー工法 |
費用 |
◎ 安い(1窓5~16万円) |
△ 高い(1窓10~20万円) |
天窓・出窓リフォーム |
◎ できる |
△ できない |
大きさの変化 |
◎ 今までと変わらない |
△ 少し小さくなる |
段差の有無 |
◎ なし |
△ あり |
掃除や開け閉めの手間 |
△ 手間がかかる |
◎ 今までと変わらない |
防音・防犯 |
◎ 比較的高い |
△ 比較的低い |
窓の種類変更 |
△ できない |
◎ できる |
見栄え |
△ よくはない |
◎ 比較的よい |
古いサッシへの対応 |
△ できない |
◎ できる |
雨戸付きの窓 |
◎ できる |
△ できない場合がある |
そのため以下のケースでは、カバー工法よりも内窓でのリフォームがオススメです。
内窓でリフォームすべきケース |
予算が限られている 天窓や出窓をリフォームしたい ガラスサイズを小さくしたくない 段差を作りたくない より強力な防音や防犯効果を求めたい 雨戸がついている窓をリフォームしたい 管理規約でカバー工法が不可 |
カバー工法では、天窓や出窓はリフォームできません。また、雨戸がある窓の場合は、カバー工法が不適用となる場合もあるため、工法を決定する前に業者に事前調査をしてもらう必要があります。
また管理規約によりカバー工法ができない場合もあるので確認しておきましょう。
<はつり工法:利用者は限定的>
外壁を壊して、既存の枠やサッシ、窓ガラスを撤去して、新しいものを設置します。 壁を壊す大掛かりな工法です。
・ガラスサイズの変更、位置変更が可能 ・工事には2〜4日程度かかる ・費用は窓の大きさによるが、20〜60万程度必要
外壁を壊すため、2階以上の部屋の窓をリフォームする際には、足場を組む必要があるなど大掛かりな工事になるため、はつり工法を採用できるケースはカバー工法よりも限定的であると言えるでしょう。 |
5. カバー工法の窓リフォームで後悔しないための2つのポイント
カバー工法の窓リフォームは生活の質を大きく改善できる可能性がありますが、以下のポイントを抑えずに工事を依頼すると、思う通りにならなかったと後悔してしまうかもしれません。
・設置後のデメリットを把握したうえで大丈夫なら導入する
・目的に合わせてガラスを選ぶ
上記のポイントを押さえることで、より満足のいくリフォームを実現できるでしょう。
以下で、詳しく解説していきます。
5-1. 設置後のデメリットを把握したうえで大丈夫なら導入する
2章で紹介したカバー工法のデメリットを把握することが大切です。
結露対策や断熱効果などのメリットに目が行きがちですが、ガラスサイズが小さくなることや下枠に段差ができることなど、デメリットを認識したうえでリフォームを行いましょう。
デメリットが気になりリフォームに踏み切れない場合は、代わりに内窓でリフォームを行ったり、6章の内容を参考にして補助金を利用し、費用削減をはかったりなど工夫していくことで、デメリットがあまり気にならなくなるかもしれません。
リフォームを行う前に、カバー工法で施工した後の様子を、ネガティブな面を含めてイメージするようにしてください。
「断熱性が上がり寒さを感じなくなった」「見た目もキレイになって気分が良い」など、ポジティブな現象しか起こらないとは限りません。
「ガラスサイズが小さくなったので日当たりが悪くなった」「リフォームしていない隣の部屋から冷気が流れ込んできて寒い」などのネガティブな感情が生まれる可能性もあります。
こういったことを想像していないと、「思ったようなリフォームができなかった」「カバー工法にしなければよかった」と後悔するかもしれません。
必ず設置後をイメージして、納得してからリフォームに取りかかるようにしましょう。
5-2. 目的に合わせてガラスを選ぶ
カバー工法で窓ガラスを交換する際には、目的に合わせてガラスを選ぶようにしましょう。
近年では、以下のようなガラスが広く用いられています。大きく分けると以下の4つがあり、期待できる効果がそれぞれ異なります。
ガラスの種類と期待できる効果 |
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種類 |
断熱・結露対策 |
防音・防犯対策 |
単板ガラス(一枚ガラス) |
✕もしくは△ |
✕もしくは△ |
複層ガラス |
◯ |
△ |
真空ガラス |
◎ |
◯ |
合わせガラス |
△ |
◯ |
単板ガラス(一枚ガラス)は厚みによって性能が変わりますが、単板ガラスだけでは、結露対策や断熱対策などにはあまり適しません。
複層ガラスは、窓枠にガラスが2枚入っており、ガラスとガラスの間にある空気層が断熱性を高めると言われています。そのため、結露対策としてもよく採用されるガラスです。ただし、防音性能はあまり高くないというデメリットがあります。
真空ガラスは、複層ガラスとほぼ同じ構造ですが、ガラスとガラスの間が真空となることで断熱性能が倍になると言われています。
合わせガラスは、ガラスとガラスの間にフィルムを挟んだもので、防音や防犯効果が期待できます。どのようなフィルムを挟むかで効果も変わってくるため、騒音に悩んでいる場合はどのような音を抑えたいのかを専門業者に相談するのが良いでしょう。
ただし、断熱効果や結露対策は、複層ガラスほどは期待できません。
どのような悩みを解消するためにカバー工法で窓リフォームをするのかをいま一度確認し、後悔のないようにガラスを選んでいきましょう。
6. カバー工法の窓リフォームに利用できる補助金
「カバー工法にかかる費用がネックで、なかなかリフォームに踏み切れない」
「できるだけ、リフォーム費用を抑えたい」
このように思うのであれば、国や地方自治体が実施しているカバー工法を対象した補助金を利用するのがオススメです。
国で実施している補助金制度については、以下をご覧ください。
カバー工法で利用できる国の補助金制度 |
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名称 |
対象要件 |
補助金上限額 |
(国土交通省) |
・リフォーム ・新築(子育て世帯、若者夫婦世帯のみ) |
・30万円 (※子育て世帯、若者夫婦世帯は60万円) |
(環境省) |
・建築から1年以上経過した住宅 ・補助金額が5万円以上 |
・200万円 |
(国土交通省:令和5年度) |
・ZEH仕様で登録されている製品を用いたリフォーム |
・補助率上限40% ・35万円 |
(環境省) |
・省エネ効果(15%以上)が見込まれる改修率を満たす高性能建材を使用 |
・断熱グレードによって単価が異なる |
対象となる製品が限定されている場合もありますので、詳細はそれぞれのホームページを確認してください。
地方自治体ではたとえば、東京都では「既存住宅における省エネ改修促進事業」という制度があります。1つ以上の居室のすべての窓に高断熱窓を設置すると、かかった費用の最大3分の1(100万円まで)の補助が受けられます。
「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」と「既存住宅における省エネ改修促進事業」は、併用が可能です。
ただし、単純に補助上限額を足した金額が支給されるわけではなく、合計補助金額の上限が設定されているため、詳しくはリフォーム工事を依頼する業者にお尋ねください。
補助金申請の際に、工事を行う業者が申請しなくてはならないケースも多いため、業者はより正確な知識を持っている可能性が高いからです。
注意点としては、補助金事業を行っていない地方自治体があることや、リフォーム工事の段階で補助金申請が定員に達し、締め切られている場合があることを念頭に置いておきましょう。
補助金の申請受付がスタートして数カ月後には締め切りになってしまうケースもあります。この場合、補助金申請のスタート時期に合わせて工事を依頼するなどの工夫が必要です。
お住まいの自治体に内窓設置の補助金制度があるか調べる際には、申請時期や金額などを合わせてチェックしておきましょう。
7. まとめ
本記事では、カバー工法で窓のリフォームをする際のメリットやデメリットを中心に、リフォームするべきかの判断基準や、リフォーム後に後悔しないためのポイントについてお伝えしてきました。
カバー工法の主なメリットは以下のとおりです。
・断熱効果が期待できる
・結露対策が期待できる
・窓の開閉方法を変更できる
・サッシのゆがみが改善される
・サッシ交換で見た目を変更できる
・掃除の手間が内窓に比べて少ない
デメリットとしては、以下が挙げられます。
・ガラスサイズが小さくなる
・下枠に段差ができる
リフォームにおける優先事項を認識したうえで、最適な方法を決めていきましょう。
本記事が、カバー工法での窓リフォームを検討している方の参考になれば幸いです。
ぜひ現状の窓のお悩みを解決して、快適な暮らしを手に入れてください。