失敗しない窓リフォームのために! 正しい断熱知識を解説!
夏の暑さや冬の寒さ・結露を解決できる窓リフォームですが、 どんなリフォームが最適なのか分からない方もいるのではないでしょうか。 そこで、商品だけでなく「断熱」に対する正しい知識をご紹介します。 根本の原理・原則、家の特徴などを理解して、 最適の断熱リフォームが出来るようにしましょう!
1 熱について知る
1-1熱の移動には、特徴がある
熱には「高温側から低温側に移動する」という特徴があります。例えば、冬は部屋の暖かい空気が窓などを通じて、寒い外の方へ移動します。
逆に夏は外の暑さが窓などを通じて、冷房などで冷えている部屋のほうへ移動します。

1-2 断熱とは「熱の移動を抑える」こと
高い方から低い方へ熱が移動するのを抑えることを、「断熱」といいます。熱の移動が激しいと、冬場はどんなに暖房をかけても温かさが外へ逃げていってしまいます。夏場はどんなに冷房をかけていても外の暑さが室内に伝わってしまいます。まるで穴の開いたバケツに水を注ぎ続けているような状態です。このように熱の移動が多い状態を「断熱性が低い」といいます。
反対に、熱が移動することなく冷暖房がしっかりかかるような状態を「断熱性が高い」といいます。注いでいる水が漏れることなく溜まるほうがいいですよね。

1-3 熱の伝わり方は「伝導」「対流」「放射」この3つ
熱の移動を抑える断熱を上手にするためには、熱の伝わり方を知る必要があります。 その方法は3つあります。① 伝導
物質の中を熱が伝わることをいいます。たとえばフライパンに火をかけると、直接火が当たっていない把手の部分まで熱くなりますよね。この現象のことです。
② 対流
気体や液体が移動することで熱が伝わることをいいます。たとえばお風呂にお湯を入れた後、放っておくと温かいお湯は上のほうに、冷たくなったお湯は下のほうに移動します。この熱の移動を対流といいます。
③ 放射
物体から発生する熱エネルギーが、他の物体に移動することをいいます。たとえばストーブのあたたかさや、太陽のぽかぽか・ジリジリしたあたたかさのように、じんわりその近くにある物体もあたたかくなっていく、この熱の移動を放射といいます。

1-4 熱の伝わり方で最も多いのは「放射」
「伝導」「対流」「放射」の中で、一番熱の伝える割合が多いのは「放射」の75%です。伝導は5%、対流は20%と、放射の占める割合が圧倒的多いことが分かります。3つの熱の伝わり方の中でも、「放射」をコントロールすることが上手に断熱する上で大切です。
1-5 放射だけを抑えることを「遮熱」という
「遮熱」という言葉を聞いたことがある方もいるかもしれません。これは「断熱」とは意味が違います。「断熱」は、3つの熱の伝わり方(伝導・対流・放射)すべてを抑えることをいいます。
「遮熱」は、熱の伝わり方のうち放射のみを抑えることをいいます。
遮熱性能が高いということは、熱の伝わり方の75%を占める「放射」を抑えることに優れています。つまり、断熱性能が高いと言い換えることも出来ます。
放射のみを抑える遮熱については、後ほどとても大切なキーワードになるので、覚えておきましょう。

2 家について知る
2-1 家で最も熱が移動しやすい場所は「窓」
屋根・外壁・床・換気・窓、この5箇所のうち最も熱が移動しやすい場所は、どこだと思いますか?それは「窓」です。換気扇も熱の出入りが多そうですが、家全体を占める面積を考えると、窓が一番になります。では、窓からどれくらいの熱が移動してしまうのでしょうか。答えは、冬は48%・夏は73%もの熱が窓を通じて移動してしまいます。
よくよく考えてみると、分厚い壁や屋根に比べて、窓はガラス一枚だけというお家がたくさんあると思います。たった一枚だけのガラスで家の中と外を区切っているのですから、窓が一番熱の移動が激しい場所というのもうなずけます。
こんなにも窓から熱が移動してしまうから夏は暑く、冬は寒い部屋になってしまうわけですが、逆に言うと窓の断熱性を高くすれば部屋はずいぶん快適になるともいえます。

2-2 窓の断熱性を高くするにはガラスが大切
窓はサッシとガラスで構成されています。窓全体で考えたとき、ほとんどの場合サッシよりもガラスが占める面積のほうが多いですよね。窓の断熱性能を上げるためには、ガラスの断熱性能を上げることが大切です。今はペアガラスや真空ガラスなど、一枚だけのガラスよりも断熱性能が高いガラスがたくさんあります。その中から最適なガラスを選ぶことで、快適なお部屋になります。

2-3 断熱は「冬」を意識したほうが良い
暖房と冷房、どちらのほうがエネルギー消費量が多いと思いますか?答えは「暖房」です。関東で考えると、暖房をつける期間は10月~3月ごろまでと長く、一日中つけ続けることも珍しくはありません。冷房をつける期間は6月~9月ごろまでと短く、夜涼しくなった時には冷房が不要になることもあります。
また、快適な室温にするまでにかかる負荷が違います。夏場に外気温が30℃の中で部屋を25℃にするのと、冬場外気温が15℃の中で部屋を25℃にするのを比べると、部屋を冷やすより暖めるほうがエネルギーをより多く必要とします。
以上のことから、冬を中心にして断熱を考えたほうが良いというわけです。

参考:『家庭用エネルギーハンドブック2014』住環境計画研究所編
2-4 太陽を味方につけると冬が快適になる
冬は暖房器具によるエネルギーの消費が多くなるので、日当たりの良い部屋では太陽のぽかぽか感をぜひ活用するべきです。たくさん日ざしのあたたかさ(=放射熱)を部屋に取り込んで部屋をあたため、その熱を逃がさないようにすることが理想的です。
3 ガラスについて知る
3-1ガラスは「遮熱に特化していないタイプ」か「遮熱に特化したタイプ」の2種類
分かりやすく大きく分けるとガラスは2種類に分けられます。① 遮熱に特化していないタイプ(=日射取得型)
特別に放射を抑えるわけではないので、放射の代表例である日ざしの暑さや暖かさを取り込みやすいタイプです。
② 遮熱に特化したタイプ(=日射遮蔽型)
放射を抑えることに特化しているため、放射の代表例である日差しの暑さや暖かさを抑えるタイプです。
3-2 日ざしの入り方でどのガラスが良いか考える
① 日ざしが良く入る部屋
日差しが入ることで夏は少し暑いかもしれないけれど、冬はぽかぽかとお部屋を暖めたい場合、遮熱に特化していないタイプ(=日射取得型)のガラスがオススメです。2-3「断熱は「冬」を意識したほうが良い」でお話したように、冬の方が暖房で部屋を暖めるのにたくさんのエネルギーが必要です。そのため太陽の放射熱を活用できるタイプがオススメです。夏場は日ざしにより暑くなってしまうので、窓の外側にシェードを付けて日ざしが部屋に入り込む前にカットするのが、最も効率の良い暑さ対策です。太陽の放射熱を季節ごとに上手に調節していきましょう。

② 日ざしが強すぎる部屋
西日が暑すぎて困るなど、日ざしが強すぎて困るというお悩みもよくお伺いします。その場合は遮熱に特化したタイプ(=日射遮蔽型)のガラスをオススメします。放射を抑えるということは、放射の代表例である太陽の熱も抑えます。一番は窓の外にシェードなどを設置して日ざしをそもそも入らないようにするのが良いのですが、シェードなどを設置できない場所などは、ガラス自体で対策するのも方法のひとつです。
注意点としては、遮熱に特化しているため、冬場のぽかぽかした暖かさが今までに比べるとあまり感じられなくなります。

③ 日ざしがほとんど入らない部屋/夜しか使わない部屋
北側で日ざしがほとんど入らない部屋や、浴室など夜にしか使わない部屋については、日ざしが入ることによる暑さ・あたたかさを考慮する必要がありません。そのため、遮熱に特化したタイプ(=日射遮蔽型)のガラスがオススメです。遮熱性能が高いということは、断熱性能が高いともいえます。日ざしのぽかぽか感は関係ないので、いかに熱の移動を抑えるかに注目すると日射遮蔽型のガラスが良いということになります。

3-3 自分の好みでどのガラスが良いか考える
① とにかく暑いのは耐えられない
寒さより暑さのほうが耐えられない!という方には、太陽のぽかぽか感を抑える遮熱に特化したタイプ(=日射遮蔽型)のガラスがオススメです。冷房効果もアップして涼しいお部屋になります。ただし、冬は太陽のぽかぽか感が今までにくらべて感じづらくなります。
② 寒いのが苦手/太陽のぽかぽかした感じが好き
冬の寒さが苦手、太陽のぽかぽか感を取り込みたいという方には、遮熱に特化していないタイプ(=日射取得型)がオススメです。部屋を暖めるには、暖房だけでなく太陽の力を借りることも大切です。ぽかぽかした感じも取り込みつつ、暖房効率をアップできるのでお得です。夏は窓の外側にシェードなどをつけて、日よけをすると過ごしやすくなります。
3-4 ガラスの性能をデータで見るには
① 断熱性能…「熱貫流率」
熱の移動(伝導・対流・放射)を抑える性能を数値化したものを「熱貫流率」といいます。これは数字が小さいほど優れています。単位は「W/(㎡K)」で、「ワットパー平米ケルビン」と読みます。一枚ガラス(3mm厚)の熱貫流率は6.0 W/(㎡K)です。一枚ガラスを基準に、他のガラスと性能を比べると分かりやすいかと思います。
② 遮熱性能…「日射熱取得率」
放射をどれだけ取り込むかを数値化したものを「日射熱取得率」といいます。単位は「η」で、「イータ」と読みます。この記事内ではわかりやすくする為に、取得率(100%表示)から100を引き、カット率を算出してお伝えしています。一枚ガラス(3mm厚)の日射熱カット率は12%です。一枚ガラスを基準に、他のガラスと性能を比べると分かりやすいかと思います。

3-5 タイプ別の具体的なガラスはこれ
① 遮熱に特化したタイプ(=日射遮蔽型)
- ●日本板硝子製「真空ガラス スペーシアクール」
熱貫流率…1.0 W/(㎡K) <一枚ガラスの約6倍>
日射熱カット率…51% <一枚ガラスの約4.3倍>

- ● 日本板硝子製「ペアマルチレイボーグ(グリーン)」
熱貫流率…1.6W/(㎡K) <一枚ガラスの約3.7倍>
日射熱カット率…61% <一枚ガラスの約5倍>

② 遮熱に特化していないタイプ(=日射取得型)
- ●日本板硝子製「真空ガラス スペーシア」
熱貫流率…1.4 W/(㎡K) <一枚ガラスの約4.3倍>
日射熱カット率…34% <一枚ガラスの約2.8倍>

- ●日本板硝子製「ペアマルチEA」
熱貫流率…1.9W/(㎡K) <一枚ガラスの約3.1倍>
日射熱カット率…33% <一枚ガラスの約2.7倍>

3-6 ガラスの価格
断熱性能が高いと、お値段もそれに見合ったものとなります。下記条件での参考価格を掲載しておきます。条件
- ♦掃出し窓(幅800mm×高さ1800mm×2枚)
- ♦ガラス価格のみ
- ♦消費税別
- ●日本板硝子製「真空ガラス スペーシアクール」88,000円
- ●日本板硝子製「ペアマルチレイボーグ(グリーン)」43,200円
- ●日本板硝子製「真空ガラス スペーシア」81,300円
- ●日本板硝子製「ペアマルチEA」30,000円
4 窓のリフォームについて知る
4-1窓リフォームの種類
どれもたった一日でリフォーム完了し、夜には断熱性の高さを実感できます。それぞれの特徴をおおまかにお伝えします。① ガラスの交換
今お使いのサッシはそのままで、ガラスだけを高性能なものに交換するリフォームです。今お使いのガラスが一枚ガラスの場合、真空ガラスのように薄いガラスであれば交換できます。内窓を設置する場合は開閉時に動作が二倍になってしまいますが、ガラス交換の場合今までと使い勝手は変わりません。

② 内窓(二重窓)の設置
今お使いの窓の手前に、もう1つ窓をつけるリフォームです。内窓はサッシ部分が樹脂で出来ているので、断熱性が高いのが特徴的です。またピッタリとすき間無く取り付けるので気密性が高く、防音効果も期待できます。今までとは違い、窓を開けるには内窓・外窓と2回動作が必要になるため、開閉する頻度の高い窓の場合は注意が必要です。

③ カバー工法
今お使いのサッシの上に新しいサッシをかぶせて(カバーして)、サッシごとキレイになるリフォームです。壁などを壊したり傷つけることなく、一日で窓を新しく出来る点が特徴的です。すきま風が気になる、窓が経年劣化で開けづらい窓も新品同様の使いやすい窓になります。ガラスだけでなくサッシの断熱性を上げることも可能です。注意点としては、今お使いのサッシに新しいものをかぶせる工法なので、窓自体のサイズが少し小さくなります。

4-2 ガラス選びがとても大切
3つの窓リフォームにおいて共通していることは、「ガラス選びが大切」ということです。窓は、サッシよりもガラスが占める面積の割合のほうが大きいです。そのため、ガラスの断熱性能や遮熱性能は非常に大切です。 リフォーム方法や使い勝手、見た目などはそれぞれ特徴がありますが、ぜひガラスにもこだわって快適な住まいを実現させましょう。
5おわりに
いかがでしたか?窓って実は生活に直結していることをお分かりいただけたと思います。断熱って結構奥深い…!ガラス選びも奥深い…!
断熱対策はお部屋の状況・間取り・住み方・リフォームの予算など、条件はそれぞれのお家で全く違います。だからこそ、それぞれのお家に合った対策方法が必要です。選択肢もたくさん合って迷ってしまう…そんな時は、ぜひ一度お気軽にMado Pro(マドプロ)にご相談ください♪
