ガラスの原料とは?製造工程も合わせてご紹介

ガラスの原料とは?製造工程も合わせてご紹介

窓ガラスや食器など、私たちの身近にあるガラス。しかし、これらの原料が何かを知る人は少ないのではないでしょうか?そこで今回は、ガラスの原料や製造工程などの基礎知識をご紹介します。

■ガラスの原料は砂と灰

ガラスは珪砂(けいさ)と呼ばれる砂と、ソーダ灰(ばい)や石灰石(せっかいせき)」などの灰が主な原料です。なお、珪砂は公園の砂場の砂とほとんど成分は変わらない、とても身近な素材です。

砂や灰を一定の比率で混ぜ合わせたものを「バッチ」と呼びます。これが正式なガラスの原料で、シリカ(SiO2)と炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カルシウム(CaCO3)が主に含まれています。後半のふたつについては、学校のチョークや運動場に引かれる白線の素でもあり、こちらも身近な素材といえます。

なお、上記の素材で作られた汎用ガラスは、「ソーダ石灰ガラス」とも呼ばれています。

ちなみに、ガラスの製造は、必ずしも上記の原料で行われるわけではありません。使わなくなった瓶や板ガラスの屑(カレット)を再利用するケースもあります。

■ガラスに使われる3大原料

前項の原料は、多くのガラスに用いられる3大原料ともいわれます。それぞれの特徴等をより詳しく見ていきましょう。

・珪砂(けいさ)

珪砂は、ガラスの組成比率7割を占める骨剤「シリカ(SiO2)」の素です。二酸化ケイ素を含む石英や珪石などを砕き、砂上にすることでガラスづくりに利用できるようになります。

なお、以前は愛知県瀬戸市周辺で採れた石英等が用いられていましたが、最近はオーストラリアやマレーシア産の輸入珪砂が主となってきました。石英はシリカの純度が重要です。これは、不純物が混じることでガラスに色が着いてしまうからです。

たとえば鉄分が入ると、青味がかった仕上がりとなってしまいます。なお、シリカは非常に高い耐熱性があり、2000℃以上の熱でも簡単には溶けません。そのため、粉砕時にはある程度の細かさが求められます。ただし、細かすぎると今後は粉同士が結合してしまうので、適切な大きさに揃っていることが製造工程では重要です。

・ソーダ灰

以前まで、ソーダ灰(Na2CO3)は草木を燃やすことでできる灰が用いられていました。アメリカのトロナ灰など、天然で採れるものもありますが、現在はソルベー法によって塩からつくられる無水炭酸ナトリウムが主に利用されています。この成分は、石鹸や洗剤、入浴材の原料としても広く活用されています。

ソーダ灰(Na2CO3)における重要な成分は、酸化ナトリウム(Na2O)です。ソーダ石灰ガラスには12%~18%程度含まれており、比率が上がるごとにガラスの耐久性が高まります。

ただし、含有量が増えすぎると耐久性が極端に下がるため、適度な調整が必要です。また、通常は1400℃が溶解温度ですが、酸化ナトリウムが多いとさらに高温が必要になるという特徴もあります。

・炭酸カルシウム

炭酸カルシウム(CaCO3)は、方解石(ほうかいせき)という鉱石を原料とする石灰石から作られます。石灰石は日本全国に分布しており、200カ所以上の鉱山から採掘されています。有名なところでは、山口県の秋吉台や福岡県の平尾台、岩手県の猊鼻渓(げいびけい)が挙げられます。

炭酸カルシウム(CaCO3)からは、ガラスにカルシア(CaO)を与えるために添加されます。なお、同じ目的で水酸化カルシウム(Ca(OH)2)が用いられるケースもあります。一般的なソーダ石灰ガラスには3~12%の割合で含まれており、耐久性にかかわります。

たとえば板ガラスやビール瓶など簡単に割れては困るようなガラスには、炭酸カルシウムが多く含まれているケースが多い傾向にあります。

■ガラスの製造工程

ここからは、窓ガラスなどに用いられる板ガラスの製造工程について見ていきましょう。

現在の主流は、1952年にイギリスで生み出されたフロート法が用いられています。

手順としては、はじめに約1600℃まで加熱して溶解したガラスの原料を、同じく溶解されたスズが入った炉(フロートバス)に流し込みます。スズはガラスよりも重たい金属なので、ガラスの原料は上に浮かびます。これを板上に伸ばした後、徐冷窯で時間をかけて冷やすことで平滑なガラス(フロート板ガラス)が完成します。

なお、フロート法以前までは、現在のように表面が滑らかで大きな面積の板ガラスを製造するのは困難でした。技術が発達したことで、太陽光をしっかりと取り込める窓が作れるようになったのだと言えるでしょう。

■まとめ

今回は基本的な原料のみをご紹介しましたが、実際には硼酸や酸化ナトリウム、炭酸カリ、酸化カリ、アルミナ、酸化鉛、酸化亜鉛、酸化バリウムなどさまざまな成分を混ぜ合わせて作られています。

現在、私たちが普段からよく見るガラスのなかには、耐熱や防犯などの機能が追加されたものも少なくありませが、その機能はこうした原料の工夫によって生み出されました。このように、ガラスにはさまざまな可能性があり、今後もさらに研究が進めば、より優秀な機能ガラスが登場する未来も十分に考えられるでしょう。

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